みくまり~あの日の言葉呼び起こす

CHAGE&ASKA、ASKAのこと。人生そのものの彼らについてひたすら語る

生きた証明の愛

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この世に於いてのすべての経験は

「愛されること」からはじまったのだ

 

そんな無重力に似た思考のようなものを

あるひとつに集中したとき

そこには引力が生まれる

 

想念を宇宙とする思考には

迷いも戸惑いも 追求も探求も無い

二卵性のような心理と真理がある

 

それはひとつの集中によって

輪郭を持った存在となったまま現れる

 

これを

ある人は閃きという

ある人は悟りという

 

ここでこの詩は完結である

 

はずだったが

 

この世を離れるとき

自分のためだけに心の底から涙を流してくれる人に

 

「これが自分だ」と伝えることができる

この生きた証明の愛を残したいと思ったのだ

 

なぜなら

この世に於いてのすべての経験は

「愛されること」からはじまったのだ

 

そんな無重力に似た思考のようなものを

あるひとつに集中したとき

そこには引力が生まれる…

 

 

ASKA「SCENEⅢ」散文詩

 

 

前回「good time」のことを書きながら

ふと気づいたことがあった。

 

ASKAさんの歌には度々、

自分の存在または愛を残したい、伝えたいという想いが綴られている。

 

前回も例を挙げたが

 

「君を愛し続けたすべてを明日の方へ送りたい」<同じ時代を>

 

「素敵な恋をしてたと伝えて

 その言葉が残ればいい 生きればいい」<good time>

 

「何かひとつは生きた証を残してみたい」<夢でいてくれるでしょう>

 

そしてこのSCENEⅢにある散文詩だ。

 

このSCENEⅢは、命のはじまりと輪廻を歌う「birth」という曲から始まり、

アルバム一枚が人の生として円を描いているかのようだ。

「birth」歌詞参照

https://j-lyric.net/artist/a001d20/l0115df.html

 

そしてその象徴のように、歌詞ブックレットに唯一載っていた

しかも「ONE」以来の久しぶりの散文詩

読むとわかるように、最後の一節が最初の一節に戻っている。

終わりなく続いていくように。

 

その中でキーになるのが、

 

「「これが自分だ」と伝えることができる

この生きた証明の愛を残したいと思ったのだ」

 

 この部分が、まさに他の曲の

「自分の存在または愛を残したい、伝えたい」という想いと共通している。

 

ASKAさんは歌を通して「すべては愛だ」ということを強く訴えている。

 

それこそ20代から30代前半くらいは「愛」というと

男女の恋愛という意味合いが強いが

歳を重ねるごとにその「愛」は

人類愛のような広く大きな意味合いを持ってくる。

 

そしてなぜそれほど「愛」を語り、

「愛」を守り、「愛」を残したいと言うのか。

 

その答えのようなものが、この散文詩の中にある。

 

「なぜなら

この世に於いてのすべての経験は

「愛されること」からはじまったのだ」

 

ということであり、

それはつまりbirthの歌詞の一節の

「愛が愛に抱かれたら 人は人を繰り返す」

に繋がるのではないだろうか。